オリンピックでの日本の成績は芳しくなかったが、ただ今世間は、フィギュアースケートで騒がしい。荒川静香選手が何故きれいに見えるのかを考えてみた。

人は立位をとり、人として活動でき、尊厳を獲得してきたが、同時に腰痛にも悩まされるようになった。とくに日本人には、「肩こり」という特殊な病態が存在する。

ヒトは2本の脚の上に、殿部、胸部、頭部の3つの塊が連なり、背骨という軸が、それらの塊の後方に位置しながら支える仕組みになっている。したがって普通の状態では、常に前方に荷重がかかり易い構造である。

さらに一番上の塊、頭の重さは成人では4.5~5kgにもなる。頚は前方に17個、後方に23個の筋群で構成され、これらの筋群は柔軟性と運動性とともに、頭部を支える荷重機能を要求される。

二番目の塊である胸腹部はこの構造が極端な形となり、すべての内臓は、背骨の前に置かれている。これら臓器は内部では横隔膜、前方の腹筋群により、その所在部位が確保されている。腰殿部は、上部の2つの塊を支持するとともに、固定性と運動性という、相反する能力の確保が求められる。

ヒトの身体は、とりもなおさず大小3つの団子を、その後方にずれた串で、かろうじて連絡を保っている非常に不安定な形をしている。この形が、常に保たれるためには、後方に位置する軸にできるだけ負荷が懸からないような望ましい。そのため頭部に衝撃を与えないための頚部、腰部での前方弯曲を支える腹側の筋群が、十分に強力でなければならない。肩こり、腰痛はむろんのこと、呼吸不全、消化器障害も前方に位置する筋群の能力に影響される。

ヒトは背骨という「軸」で動く動物である。歩く動作が少なくなり、軸の不安定性が、疾病の発生に大きな影響を与えている。
とくに前屈みでは、内蔵機能を押さえるため「胸を躍らせ」、「胸を打たれる」こともなく、「腹に収め」、「腹を据える」ことも出来ない。
荒川静香選手の演技は、人の身体の『軸』を強烈に意識させた。私たちが失いつつあった《ヒトの軸》を感じ取ったために、感動が得られたのだろう。

運動競技でもこの体軸を意識して観戦すると、選手の身体の調子を察することが出来るし、ゲームの展開も予感できる。どのような職業でも軸が大切であり、軸の崩れは、社会生活、生活習慣、身体機能の異常へとつながる。地球の自転、太陽系、銀河系もすべて「軸」を中心に動いている。常に軸、ヒトは背骨を意識することから、無駄や無理のない動作が生まれる。
これからは軸を意識し、仕事や趣味の軸回転がぶれないように生活してゆきたい。