最近と腰痛を訴える、とくに若者で気になったことがある。うつ伏せになって腰を診察するときになって「足の裏の皮膚に境界がない」のに気付いた。

一般に足蹠の体重が負荷される部分の踵や母趾球の部分の皮膚は、非常に強く、また強固な角化組織となり、中央部のいわゆる土踏まずは、比較的薄い皮膚となっている。さらに皮下にはショック吸収材となる強大な脂肪組織が小部屋に分けられて存在し、さらに体重支持組織としての足底腱膜につながっている。その上方、足底腱膜の上には趾の屈筋群、足部の横のアーチを保つ母趾内転筋群が存在し、接地時の衝撃を和らげている。

腰痛を訴える若い人の足の裏の皮膚は、土踏まずと踵の部分とにほとんど違いがない。日常生活を聞いてみると、車を利用し、移動にもエスカレーターやエレベーターを極力利用している。立位を嫌い、なるべく座位を採ろうとする。殆ど体重負荷の機会がない。このためクッションとしての踵部分の皮膚の柔軟化が起こり、赤ん坊の足の裏にようになる。
さらに足部の体重負荷能力が低いため、足部は横に広がり、接地面積を増やそうとする。そうして趾の間が拡がり、支持能力を高めようと母趾を内側に引く内転筋が働き「ベタ足」になり、外反母趾を招く。さらにアキレス腱の一部となる下腿後面の筋群が硬く、膝を伸ばした状態では、足関節は直角の手前ぐらいまでしか曲げられない。私たちの言葉では「背屈」できない。このため歩行時のショックの吸収が悪くなり、前屈みの姿勢となり体重を支え、地球の重力に対抗して働く、大腿前面、臀部の筋群も短縮し、腹部内臓は下方に垂れ下がり、腰部の負担は大きくなる。このようにして腰痛は生み出される。

人は立位を保持し、両手動作を可能にして、文明・文化を創造してきた。立位が十分にできない状態は、文化を維持できない状態を予測させる。便利な世の中の発展と身体機能は反比例に関係にある。足の裏の役割を十分に果たせるように、しっかりと大地を踏みしめて、体重負荷を掛け、磐石の地盤の上で社会活動ができるように、身体運動機能を常に高めておきたい。