肥満症とは、肥満に関連する健康障害を合併するか、あるいはその合併が予測され、医学的に減量を必要とされる状態をいう。
じっとしている時間を減らすことが目標

運動/身体活動と肥満の合併症

*運動による血圧低下は、肥満度及び体重減少とは無関係。運動耐用性を改善させる強い運動を行わなくても、中程度の運動で同等の降圧効果が期待できる。

*インスリン感受性向上は、運動の急性効果である。7~10日間運動を行うと、運動後1~3日はインスリン感受性の改善が認められる。インスリン感受性の改善には、体脂肪の減少が重要であり、脂質指標の改善も体重の減少、体脂肪の減少と並行する。

*肥満の運動療法では、急性効果の繰り返しを目指して『定期的に』運動/身体活動を行う。

*エネルギー消費を増加させ、体脂肪を減少させる。

*腸間膜などの内臓脂肪の蓄積は、合併症と強く関連する。

*この内臓脂肪は、食事制限や運動療法によって減少しやすい。

*内臓脂肪の減少、インスリン感受性改善の効果は、運動も食事制限も差がない。

減量目標と運動療法

*当初の減量目標 治療前体重の10%減
8%の体重減少で内臓脂肪は25%以上減少し、インスリン感受性は60%改善。3~12ヶ月の体重減少は平均8%、3~4.5年では4%減に止まる。リバウンドが起きにくい運動療法での体重減少は体重の2.4%程度。

メディカルチェック

*中程度の運動処方では糖尿病、心肺系の合併症の既往やこれを疑う。自覚症状がないときには、負荷試験は必要ない。

*糖尿病を合併する人では、負荷試験を受け冠疾患の有無を評価してもらう。

新しい身体活動指針

*肥満者の疾病リスクの減少は、心肺持久力の改善とはあまり関連せず、体脂肪ことに内臓脂肪の減少量とよく関連する。

*低強度大量の運動/身体活動により、疾病リスクの減少を目指す。

*運動の主目標を、運動時間やエネルギー消費量で表される身体活動量の増加におく。

*1日に合計30分以上(8~10分程度の細切れでもよい)
ただし毎日おこなう。

エネルギー消費増大を目指した運動

*高齢者や女性では、運動による疲労により身体活動レベルが低下することがある。当初は10分程度の低強度の運動を繰り返しながら残り時間も活動的に過ごす。運動が一つのきっかけとなり、1日の総エネルギー消費が増えるように配慮する。

整形外科的障害をもっている場合

*靴底に衝撃吸収剤を用いたウォキング・シューズ

*水中運動 体重負荷軽減の目的

従来の運動指針

*一般健康人を対象とする。
トレーニングによる心肺持久力の向上
1回20~60分程度の持続した有酸素運動を3~5回行う(ウォーキング、自転車漕ぎ、水泳など)
運動強度は中~強度(酸素摂取予備能力の40/50~85%に達するレベル)

*運動経験の乏しい人では、この運動下限の50%を安全かつ至適強度とする。
『最大心拍数の予想値=220―年齢』を用い
『(最大心拍数―安静時心拍数)×0.5+安静時心拍数』
または『《220-年齢+安静時心拍数》×0.5』を目標に運動
この運動強度は、肥満者では運動強度の増加に伴い、嫌気的解糖によるエネルギー産生が始まるポイントをやや下回るレベルである。

*運動強度の補助目標として、自覚強度の有用性が強調され、50%の運動強度では《ややつらい》という程度で、軽く息を弾ませながらも運動中の会話が可能である。